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2024年04月22日

【コラム】ダイレクトブロー成型のメリットとは?インジェクションブロー成型との違いについても解説

23/11-2-1

ブロー成型は幅広く使用されている成型方法の一つで、ペットボトルやシャンプーボトルもブロー成型によって製造されています。
今回は、ブロー成型に分類される内の一つ、ダイレクトブロー成型について解説します。よく比較されるインジェクションブロー成型との違いやメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてください。



■ダイレクトブロー成型のメリット

ダイレクトブロー成型とは、高熱で溶かしたプラスチックをチューブ状に押し出してパリソンを形成し、中から空気を入れて金型の形状に膨らませる成型方法です。
まずは、ダイレクトブロー成型で容器を作るメリットを3つ紹介します。


・小ロット生産がしやすい

ダイレクトブロー成型は、小ロット生産に向いていることがメリットの一つです。成型品を変更する際に取り換える部品が少ないため、時間を短縮できます。また、ストレッチブロー成型機やインジェクションブロー成型機で使用される金型よりも安価に金型を製作できることもあり、新しい成型品を作る際の初期費用も格段に抑えられるでしょう。


・異形品も一体成型できる

ダイレクトブロー成型では、通常のボトル以外の形状も簡単に成型できるメリットがあります。たとえば取っ手がついた容器を作る場合、1つの工程で一体成型できるため、ボトルを成型した後に別途取っ手部分を成型して組み合わせる手間がかかりません。別装置の装備が必要なく、コストや手間を抑えて異形品を大量生産できます。


・多層成型が可能

ダイレクトブロー成型は、種類の異なる樹脂を積み重ねた多層成型が可能です。積層に酸素バリア材を使って内容物の酸化を抑えたり、ボトルの表面に光沢感をもたせたりもできます。リサイクル材を再利用する層を設けられるため、環境に配慮した成型も可能です。



■多層成型のメリット

多層成型では、複数の樹脂を積み重ねることで、単一樹脂で成型する場合より商品価値の高い容器を生産できます。ここでは、多層成型のメリットを6つに分けて見ていきましょう。


・酸化防止

HDPEやLDPEなどのポリエチレン樹脂だけで作られた容器は酸素が通り抜けるため、内容物の劣化を早めてしまいます。その場合、ガスバリア性に優れるEVOH(エチレンビニルアルコール)の樹脂層を間に挟みこむことで内容物の酸化を防止するのが一般的です。


・揮発防止

ガソリンの揮発成分も酸素と同様、HDPE素材を透過させる性質があります。そのため、ガソリンタンクも食品容器のようにEVOHの樹脂層を挟み込むことで、内容物の揮発の防止が可能です。


・耐薬品性

HDPEは耐薬品性が低いことから、農薬などに直接触れてしまうと内容物が透過したり容器の変形を引き起こしたりする原因になりかねません。そのため、農薬容器には主にPA(ポリアミド)樹脂が使用されています。多層成型では耐薬品性に優れたPAを最内層にして成型することで、透過や容器の変形防止に対処できるでしょう。


・高級感を付与できる

高級コスメブランドの容器などは、見た目に高級感をもたせるため、EVOHやPET-G(非晶性ポリエステル系プラスチック)といった樹脂を最外層に用います。HDPEだけで成型した場合、表面にツヤ感がなく高級感を出すのは難しいですが、多層成型であれば光沢性のあるEVOHやPET-Gを組み合わせて使用できます。


・リサイクル材として利用できる

ダイレクトブロー成型では、成型の過程で「バリ」が発生します。バリとは、金型の隙間に漏れ出たパリソンの余剰部分です。バリはリサイクル材として再利用できますが、成型品の中にはリサイクル材と内容物が触れてはいけないケースもあります。その場合、リサイクル材をバージン材で作った層で挟み込みましょう。単層成型のバリは廃棄するほかありませんが、多層成型ではリサイクル材として活用できるため、コストや環境への負荷の軽減を実現できます。



■まとめ

ダイレクトブロー成型は、私たちが日常的に使用している容器に欠かせない成型方法です。「小ロット生産がしやすい」「異形品の一体成型ができる」「多層成型が可能」など、さまざまなメリットがあります。成型方法の違いを知って、製品に応じた容器を選択する際にお役立てください。

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