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2022年09月30日

【コラム】ガラス瓶はどうやってできる?製造方法を解説

22/07-1-1

さまざまな容器に使われているガラス瓶ですが、どのように作られているのかをご存じでしょうか?ガラス瓶と一口に言っても、用途に合わせて素材の配合を変えるなど製造方法に違いがあります。
今回は、ガラス瓶がどのように製造されるのか、過程と併せて詳しくご紹介いたします。

 

■ガラス瓶ができるまで

食品や調味料、ハーバリウムなどの入れものとして幅広く使用されているガラス瓶は、一体どのように作られているのでしょうか。
以下では、ガラス瓶の種類と製造方法を詳しく解説します。

 

・ガラス瓶の種類

ガラス瓶は、製造方法によって以下の3種類に分類できます。

<自動製瓶>

自動製瓶とは、全自動の機械によって製造されるガラス瓶です。
以下で紹介する半人工製瓶に比べると、重厚感のある香水瓶や花瓶などの製造が難しいものの、安定した品質の瓶を大量製造できるメリットがあります。
ガラス瓶1個あたりの製造コストを抑えられるため、ガラス瓶を大量に流通する場合におすすめです。

<半人工瓶>

半人工瓶とは、職人の手作業によって作られたガラス瓶です。
「種巻き」「切り込み」「瓶出し」と呼ばれる3人の職人によって製造されます。
ほとんどの作業が職人によって行われるため、自動瓶と比べて一度に製造できる数も少なくコストもかかりますが、デザイン性の高いガラス瓶やオリジナリティがあるガラス瓶を作る際におすすめです。

<吹きガラス>

吹きガラスとは、高温の窯に入っている溶けたガラスを吹き竿に巻きつけ、息を吹きこんで成形するガラス瓶です。
ガラス工芸の1つであり、ガラスの形や厚みによって透明感や光の屈折が異なります。
吹きガラスの製造体験ができる工房もあるため、自分のアイディアやイメージをガラス瓶に落とし込みたい際は、利用してみてもよいでしょう。

 

・大量生産に適した自動製瓶の製造方法

工場によって多少の違いがありますが、基本的な自動製瓶の製造方法は以下の5ステップです。

①原材料の調合
まずは、原材料の調合を行います。
この工程は、ガラス瓶の強度や質感などを決定づける大切な部分です。そのため、非常にシビアな割合で調合が行われます。
主な原材料は、珪砂(けいしゃ)とソーダ灰、石灰石の3種類です。それに加えて、副原料の清澄剤や着色料、ガラス製品を細かく砕いたカレットが調合されます。
カレットは、マグネットによる金属異物探知検査が行なわれた後に利用されます。

②原材料を溶かす
次に、原材料を1,500度以上の高温で溶かします。
工場によっても異なりますが、ガス燃料が使われていることが多いようです。
主原料とカレットや副原料を調合した後は、バッチホッパーへ運ばれ、溶解炉へ供給されます。
溶解炉は非常に大きなものであることが多く、1日で数十tものガラスを溶かします。

③成形と仕上げ
溶解炉でドロドロに溶かされたガラスは、それぞれのびんの大きさにカットされ製瓶機におくられます。
そのカットされたガラスをゴブと呼び、そのゴブの形を大まかに整える「粗型(あらがた)」と、最終的な仕上げを行う「仕上げ型(しあげがた)」の2段階の工程を踏んで、製品の状態へと整えます。
これらの作業工程は、コンピュータ制御で集中管理されていることがほとんどです。
ガラス瓶の成形の過程は大まかに分けて2種類あり、口部径の大きい瓶(ジャム瓶など)と、口部径が小さい瓶(ビール瓶など)に分けられます。口部径の大きいものはプレスブロー成形、口部径の小さいものはブローブロー成形という方法がそれぞれ用いられます。
発注ロットが大きく大量生産が必要な瓶の場合、金型を30~100セットほど用意する必要があります。ガラス瓶の成形温度は1200℃~1600℃と高温であるため、熱伝導性に優れ、加工が容易な鋳鉄を金型材として利用することが特徴です。

④徐冷
製ビン機で成形された瓶を徐冷炉で冷やす工程です。
成形されたガラス瓶をそのまま常温に戻してしまうと歪みが生じてしまい、強度が弱くなってしまいます。それを防ぐために、徐冷炉と言われるトンネルでゆっくり冷やします。
仮に、ガラスに歪みが入ってしまった場合でも、再加熱と徐冷を行うことで、歪みを除去することが可能です。また、徐冷後はガラス同士が触れて傷がついてしまうのを防ぐ必要があります。そのため、界面活性剤を徐冷後の余熱のあるガラス瓶にコーティングします。

⑤検品と出荷
徐冷が済んだガラス瓶は完成している状態です。
すぐに出荷できる状態ではありますが、出荷前には必ずガラス瓶にヒビや欠けなどがないかを検査機や人の目によって厳しくチェックされます。
そして、厳しい検査基準をクリアしたガラス瓶のみが出荷されます。
製造工場によって異なる場合がありますが、数台の自動検査機で、口部の寸法・ビリ(微細なクラック)・アワ、異物、しわなどのポイントについてチェックを行います。

 

■ガラスの加工方法

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ガラスの加工方法には、以下3つの方法があり、製造したいガラス瓶の種類や用途などによって使い分けられています。それぞれの加工方法について詳しく見ていきましょう。

 

・吹きガラス

吹きガラスの加工方法には、「吹き込み成形」と「廻し吹き成形」があります。
吹き込み成形は、竿の先に溶けたガラスを巻き取り、息を吹きこんで成形する方法です。金型に彫り込んだ模様が転写されるため、細かな模様を付けることができます。
「廻し吹き成形」は、金型の中でガラスに息を吹き込みながら竿を回して成形する方法です。この方法で成形すると、ガラスに金型のつなぎ目の跡が付きません。

 

・プレス成型

プレス成型は、溶けたガラスを「矢型」「目金型」「胴型」の3つのパーツから構成される金型に流し込んで成形する方法です。
繊細な彫刻模様と少しレトロな風合いに仕上がるのが特徴で、吹きガラスの加工では難しい厚みのあるガラス瓶も作れます。
ガラス瓶のほか、フレネルレンズや舞台照明用ガラス、非常灯用ガラスなどもプレス成型によって作られています。

 

・プレスブロー成形

プレスブロー成形とは、吹きガラスの加工方法とプレス成型の2段階でガラス瓶を作る方法です。
口部分をプレスで成形し、胴体部分は金型に入れて空気で膨らませます。
口部分を繊細に作れるため、プレス成形では作れない形状の商品に向いている製造方法です。

 

■まとめ

さまざまな容器に使われているガラス瓶には、全自動の機械によって製造される「自動製瓶」と職人の手作業によって作られる「半人工瓶」、息を吹きこんで成形する「吹きガラス」の3つの種類があります。
コストを抑えてガラス瓶を大量生産したい場合は自動製瓶、オリジナリティあふれるガラス瓶を作りたい場合は半人工瓶や吹きガラスがおすすめです。
加工方法にも「吹きガラス」「プレス成型」「プレスブロー成形」の3つがあり、製造したいガラス瓶の種類や用途などによって使い分けられています。
斎藤容器では、食品容器や薬品容器など、さまざまな用途に合ったガラス瓶を豊富に取りそろえております。
大口の注文から多品種小ロットまで幅広く対応していますので、気軽にお問い合わせください。

 

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